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高速道路と鉄道の固定資産税

 高速料金無償化についての記事を読んでいるときに、高速道路が無償化されれば並行する鉄道の利用が少なくなるのではと考え、考えている中で鉄道には固定資産税が課税されていたはずだが、高速道路はどうなのだろうと気になった。もし鉄道の線路部分が課税されていて、高速道路の道路部分が課税されていないのであれば、鉄道の線路部分は非課税にするか、高速道路の道路部分を課税するべきではないかと考えた。鉄道と高速道路、それぞれの固定資産税の課税状況をまとめてみた。

 

鉄道の固定資産税

 ・鉄道の線路部分には固定資産税が課税されている

 ・課税額(割合)は上場4社と非上場3社で異なる*1

 ・非上場3社は沿線の土地評価額から求められる固定資産税額の10分の1倍*2

 ・上場4社は沿線の土地評価額から求められる固定資産税額の3分の1倍*3

 

鉄道用地という細長い形状の土地は活用が難しいことから、固定資産税は3分の1とされている。

 

高速道路の固定資産税

 ・高速道路は固定資産税非課税

 

高速道路は将来的に無料開放される予定のため、地方税法に基づいて固定資産税は非課税となっている。

 

民営化したのに非課税はおかしいのでは?

 法律で定められているとはいえ、高速道路の固定資産税が非課税となるのは解釈次第の問題だ。鉄道と競合関係にある高速道路に優遇措置を設けるのは適正な競争にならないのではないだろうか?JR東日本JR東海JR西日本は固定資産税を毎年200億円以上納税している。これでは余りに不公平だ。

 しかしNEXCOにも事情がある。JR各社は民営化し、不動産事業などに進出して経営の安定化に努めているが、NEXCO各社は法律の縛りもあり、多角経営を行えない状況なのだ。さらに株式も100%政府が所有しており、実質的に国営のままである。一方、JR四国JR北海道NEXCO各社と同様に特殊会社で株式は100%政府保有だが、異業種に参入している。NEXCO各社が他の業種へ参入できるよう法律を改正してはどうだろうか。

 道路公団民営化直前には約38兆円あった負債は現在約27兆円まで減少し、償還速度は予定より早い状況だ。固定資産税を納税する余力はあるのではないだろうか。

 

参考記事

「高速各社の経営の自由度を高めよ」日経新聞2015年9月22日

高速各社の経営の自由度を高めよ: 日本経済新聞

「固定資産税に係る主な論点」首相官邸

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/dai18/18siryou9.pdf

「鉄軌道用地の評価について」大阪府総務部市町村課税政グループ

http://www.masse.or.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/200704_p62.pdf

*1:上場4社:JR東日本JR東海JR西日本JR九州 非上場3社:JR北海道JR四国JR貨物

*2:鉄道用地は土地利用が難しいため3分の1、三島会社は経営が難しいため2分の1、国鉄から受け継いだ資産は5分の3倍され、合わせて10分の1倍となる

*3:JR九州平成28年に上場したため、固定資産税はこれまでの3分の10倍となるが、激変措置として段階的に上昇中